ゴム動力 プラ子の日記  〜 第31回め〜  

 

平成16年

12月11日(土)  

忘年会シーズン、みなさまいかがお過ごしでしょうか。 

細々始まったプラ子の日記も、31回続いたよ。いやぁ、小学校の時の先生に知らせてあげたいね。びっくりするだろうな〜・・・

私も昨日一昨日と、忘年会でした。明日は関西のとある忘年会に潜入を試みようとおもっていたのですが、やめにします。無謀な企てをすると一人で数日は楽しめますが、実行出来ないとなると、その分凹みますね。張り切って巻いたゴムをどうしたらいいんでしょ。 ゴム動力の切なさよ・・・。プルプルプルプルプル

今日は土曜日。仕事の話じゃなくてもゆるしてねん。唐突ですが、一瞬のうちにいろんなことがコマ送りとなって見える、そんな経験ありますか?とんでもないことが起こった瞬間によくそういうものが見えるそうですね。私もあるんです。

私は小さいときから走ることが好きだったみたいで、小学校のときは毎日歩いて家を出るのに、気づくと走っていたんです。毎日毎日です。中学・高校での自転車通学は、当然「立ち漕ぎ」となるわけで。いつも精一杯体を動かさずにいられない性分なのか、それとも単なるせっかちか?結局鍛えるつもりもなく鍛えられていたみたいでした。

そんなわけで中学では、陸上部でもないのに市の陸上大会には毎年招集されていました。200メートルの選手でしたが、1年、2年は4位ぐらい。はっきり覚えていません。そして中学3年、最後の大会でのこと。その年は全校生徒の大応援団が、200メートルのスタート地点の目の前に陣取っていました。ドキドキのスタート。静まり返る場内。「位置について」といわれ、緊張してしまったのか、私はスターティングブロックに派手につまずき、全校生徒の前でドリフも顔負けのずっこけを演じてしまいました。「だめだこりゃ!」と言う声が聞こえ、全校から大爆笑され、顔から火が出ましたが、そのまま位置に着き、スタート! 緊張の糸がきれたのか?なぜか一等賞をもらってしまいました。感激でした。有頂天でした。

我が校は、数年連続で総合優勝していて、その年は、ついに5連覇だったか6連覇だったか、とにかく連続優勝が掛かっていました。一つ一つの種目の得点が加算されます。そして最後のリレーです。私は毎年第一走でしたが、その年は初めての第2走。今までは渡すだけのバトンを、人からもらうのは、ちょっと緊張でした。

でも練習はしたんだ。頑張ろう。そして、ついにスタート、第一走の子が近づいてきました。気持ちを集中して、決めてあったポイントに彼女の足が掛かった瞬間、私は猛烈にダッシュ。彼女の合図をまち、そして、ぱっと手をだしました。タイミングばっちり!彼女からのバトンを手に感じ、そして、握り、よし!と意気込んだとき、・・・・まさにとんでもないことが起きたのです。

後ろでバトンをもらった右手を前に振るその瞬間、バトンが私の腿に当たり、そして、ほんとのコマ送りで、西日の当たるフィールドのほうめがけて大きくスポ〜〜〜〜ンと、飛んでいってしまったのです。

「あ・・れ・・・? な・・ん・・・で? バ・・・ト・・・ン・・・が・・・あ・・・ん・・・な・・・と・・・こ・・・ろ・・・を・・・ と・・・ん・・・で・・・る・・・の・・・?」

その着地までの時間の長かったこと。今までキツかった練習、過呼吸になり顔にビニールかぶせられたり、吐きそうになったり、うがいのフリして水を飲んだり、チームメイトの顔や、さっきまでの有頂天の自分・・・いろんな記憶がうわ〜〜〜っと現れ、そしてバトンの着地でスッと消えました。・・・コースを外れた時点で失格ですが、勝手に体がバトンを拾いに行き、またコースに戻ると涙をこらえながら必死で走り、次の子にバトンタッチ。その場所はまたまた全校生徒の大応援団の目の前でした。だれも「だめだこりゃ」と笑っていませんでした。

その後のことは想像どうり・・・なんてことしてしまったんだろう。チームメイトにひたすら謝って謝って泣き崩れていました。とにかくもうその場から居なくなりたい。学校に行きたくない。

第一私の失敗で、絶対優勝出来たはずのリレー(なぜなら全員が短距離の優勝・準優勝者だったから)で、こんなことになり、挙げ句に「連覇」まで逃したらいったいどうしたらいいのでしょう。

つぶれそうな心を抱えて失意のま呆然と閉会式に臨みました。心臓ばくばくでした。ゆっくり読み上げられる順位。結果、我が校は女子の部優勝、学年も優勝、そして・・・総合・・・は?

総合優勝! 気絶寸前の15歳のプラ子ちゃん!パチパチパチ! おめでとう!(未来のプラ子より)

それでも次の日、学校に行くのは勇気がいりました。でもみんなが笑ってくれていました。

数年前、納戸からそのときもらった200メートルの金メダルが出てきたとき、母にその話をしましたら、

「え?優勝したの?」「ふ〜ん、バトン落としたのぉ??」

当時うちの親は、子供の行事にわりと無関心でした。あっさりしたものです。栄光と挫折の大会でしたが、ビデオも写真もありません。今、息子の部活に親が動員されることが、すごく違和感あるのもそのせいです。

数十年経って、思うのは、「コマ送り」ってほんとにあるんだな、ってことと、クラスのみんなのあったかさ。そして

あんなにつらいと思ったことも、結局いずれは笑ってはなせるようになるのだ。っという教訓めいたこと。 

これからだって、ちょっとやそっとのことがあってもそう思って頑張れるのだ! ・・・ね♪